学校法人 鈴蘭幼稚園

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園長のことば 2014年度

すずらんの花2014年度
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3月「わすれない ―これからもともに―」

今年度最後のすずらんだよりとなりました。いちょうさんにとっては、幼稚園生活最後。間に合いました、直筆。まだ多少震えますが、心をこめて書きます。

私たちの心の支えであるキリスト教の精神。園が加盟しているキリスト教保育連盟の2014年度主題聖句は、「わたしは、あなたに約束したことを果たすまで決して見捨てない」(創世記28章:15節後半)。神さまは、すべてに平等な愛の方です。イエスさまは、私たち一人ひとりの名前を呼んでくださっています。いつもいつもー。私が大切にしている聖句のひとつに、「恐れるな、わたしはあなたを贖う。あなたはわたしのもの。わたしはあなたの名を呼ぶ。」(イザヤ書43章:1節後半)があります。神さまもイエスさまも、私たちを呼び続け、決して見捨てず、わすれないのです。

幼稚園の子どもたちは、きっとわすれないでしょう。具体的なことではなく、意識下のあれこれではなく、神さまのあふれる愛による安心感を、その感覚が織りなす明日への原動力の力強さをー。

この冬の時期、大きな震災被災者に思いを馳せる機会が多いときです。子どもたちは、本当に純朴に心や体を震わせながら、見えない仲間に祈りを届けています。「わすれない」。私たちは、わすれてはいけないものを、豊かに暮らせている人間として、語り継ぐ責任があるように思います。すべてのことは当たり前ではなく、これから迎える卒園、進級という約束された次のスタートにも、心からの感謝をわすれないでいたいものです。

私たちには、希望があります。暗闇の中にあっても、希望の光があります。神さまのあふれる愛がなせる業です。神さまのお守りの中で、大きくなったことを喜び、成長させてくださる神さまに謙虚に感謝しつつ、今年度の残りの日々、今このときを大切に過ごしましょう。

いちょうさん、一人ひとり自ら世の光となって、卒園してからも、周りを照らす光の子でいてください。お祈りしています。

 

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2月「気づきあう」

塩尻からの通勤の道すがら、左手にアルプスの山々が見えます。冬晴れの朝の雪山は、ため息が出るほどに輝いて、私は、常念岳の南に見える槍ヶ岳が大好きです。常念岳より少し薄く映るそのシルエットは、尖ってはいるものの、鋭さや険しさよりも、むしろ優しさや純粋さを感じさせます。角度や位置によって見え隠れする槍ヶ岳。1年前まで、そんな現れ方に気づかずにいた山です。存在に気づき、積極的に見ようとしなければ見えてこないものが、自然界にも、そして私たちが生きていくうえで欠くことのできない人間関係にも、在ることを思わされます。

またまた私事ですが、右手首の骨折でカチカチに巻かれていたギプスが冬休み中に外れ、着脱可能な装具になりました。ただ、まだ筆圧が戻らず、今号もこのような形でのメッセージとなりました。前号を読まれたあるおうちの方が、字体を見て『あれっ。そうかー。』と私の手首のけがを思い起こされ、そして、さびしい感じがしたとおっしゃいました。私の拙い字でも、直筆に味わいを感じてくださっていることに、心から感謝が湧き起った出来事でした。

これから、1年の中でも最も充実した時期を迎えようとしています。最近の子どもたちをよく見ていると、『あ!』といった何かを発見したような表情、『そうだ!』といった何かに思い当ったような表情が多く見られるようになりました。それまで気にとめていなかったところに注意が向いて、物事の存在や状態を知ることや、はっとした気づきをお互い共有できたら、1+1が2ではなく、3にも4にもなるような気がします。

たくさんの遊びの中での今までの経験から、自分の大切さだけでなく、相手を大切にする気持ちが培われ、思いが違ってもそのことに気づき合い、伝え合って、信頼関係、相互関係を築こうとしています。その一生懸命さや努力を支えるもの、健気さや目には見えないけれども大切なたくさんのものを、ずっと失わないで育ってほしいと心から願います。

かけがえのない子どもたち。かけがえのないとは、取り替えの利くものではないということ。その子どもたちが、今を生きるすべてを注ぎ、遊び込んでいます。“あそびがあふれでる”幼稚園でありたいと思います。

 

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1月「気づきあう」

あう(合う)”という言葉、私たちのまわりにあふれています。“一つに集まる”“近寄って一つになる”“調和する”“適合する”などの意があり、感情や状況を表すほとんどの名詞のあとにつけられ、するとその途端その言葉は、一方通行ではなく相互通行、相手があり相手への思いやりが感じられる言葉へと変化します。なにげない子どもたちとの会話の中にも、また、意欲的に保育について意見を交わす時にも、様々な場面で語られていることに気づきます。

この冬、お正月ならではの遊びを通して、友だちと群れて遊ぶ経験をしてほしいと思います。日本古来の昔遊びの中には、知恵を使うものや手先を使うものも多く、ぜひ私たちも子どもたちとともに楽しみながら挑戦したいですね。また、他との関係が希薄になりがちな社会構成、“群れる”ことができにくくなっている現代環境の中において、幼稚園という枠組みの重要性を感じます。幼稚園には、家庭では作ることのできない仲間がいます。“ともに遊ぶ”ことで培われることがたくさんあり、それが幼稚園では日々の生活として子どもたちに保障されています。相手の思いや考えを受けとめ合いながら、お互いの違いを認めつつ、助け合ったり関わり合ったりする中で、そのこと自体に喜びを感じてほしいと思います。同じ人は誰ひとりいません。みんな違って素敵です。そこに気づき合うことが、他からも尊重されている自分と向き合うことになり、自己肯定につながっていくのだろうと思います。

私事ですが、11月の末日、教会で転倒して右手首を骨折してしまいました。けがは、モチベーションが下がりますよね。情けない、悔しい、申し訳ない、じれったい、鬱々する・・・確かに思わないことはありません。でも、この出来事も、私の、特に弱い心に働きかけてくださる神さまのご計画なのだろうと思います。いろいろなことを感じ、大切なことに気づいていく私を、導き見守っていてくださる。子どもたちやおうちの方々、仲間たちが、これほど心配し祈っていてくださる。ひとりではないんだと、背中を押された思いがしています。ご心配、ご迷惑をおかけして申し訳ありません。次号は、また直筆でメッセージを書けるようになっていたいと思います。

ご家庭で迎えるクリスマスやお正月のある冬休み。大人のペースになりがちな時期ですが、しばし園生活を離れた子どもたちが、おうちの方々と豊かで穏やかなときを過ごし、優しい気持ちで、安心の中で、新しい年を迎えることができますようお祈りいたします。年が明けてからも、クリスマスを通して出会った救い主イエスさまのことを伝え続けながら、子どもたちとの生活を楽しんでいきたいと思います。

すてきなクリスマス、よいお年をお迎えください。

 

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12月「クリスマスの喜び」

うれしい季節がやってきました。この季節、子どもたちは本当のクリスマスの意味を知り、喜び、そしてみんなでともに祝います。クリスマスは、神さまが私たちを呼び出してくださっている出来事、そのことを子どもたちは素直にごく自然に受けとめ、それを通して、お友だちや家族、まわりのいろいろな人のことを思い、いろいろな出来事にも目を向け、自分にできることを考えます。その中から、大切な役割を見出して伝えようとしている姿を、ゆったりと見守っていただきたいと思います。

愛の神さまは、私たちのために大切な独り子イエス・キリストをお与えくださいました。その誕生がクリスマスです。小さな寒村にしか過ぎないベツレヘムという町、あまり人の目にとまらない目立たないところで起こった素晴らしい出来事、喜びの出来事は、クリスマスが誰もが一人ぼっちではないことを知るときでもあるのです。

毎年来るクリスマス、でも同じクリスマスはありません。一回一回のクリスマスを子どもたちとともに大切に迎えたいと思います。おうちの方々とも、心合わせてクリスマス礼拝が守れますよう願っています。

11月の2週目には、持ち寄られた秋の豊かな恵みとともに、感謝祭礼拝を守りました。その恵みを、心と手を動かして調理し、そしてみんなで温かな食卓を囲みました。ともに恵みと感謝を味わうことのできる環境に幸せを感じながらー。幼稚園が大切にしている“感謝する気持ち”がこもったおにぎり献金。おささげいただいた“私たちにできることをー”の思いは、52,523円になりました。子どもたちの内に根付いている思いやりと、おうちの方々の祈りに合わせて、活きる形で用いたいと思います。後日ご報告いたします。ありがとうございました。

 

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11月「みのりがいっぱい」

今月の神さまからのみ言葉、月聖句は「大地は作物を実らせました。」(詩編67編7節)です。そして、鈴蘭幼稚園で大切にしている聖句に、「わたしは植え、アポロは水を注いだ。しかし、成長させてくださったのは神です。ですから、大切なのは、植える者でも水を注ぐ者でもなく、成長させてくださる神です。」(コリントの信徒への手紙一3章6~7節)があります。松本教会の19日の礼拝の招きの詞でもありました。その神さまが私たちにくださった四季、それぞれに趣のある姿を見せてくれます。秋もまた、そこここに素晴らしい風景や実りがあり、恵みを喜び感謝したいと思います。作物も私たち人も成長させてくださる神さまのその偉大なみ業を、大いに賛美しましょう。子どもたちは、自然のなせる営みを、素直に感性によってのみ真っ直ぐに受けとめ、心を動かし謳歌しています。子どもたちのこぼれる笑顔が、なにより真の恵みへの感謝の証なのでしょう。

恵みへの感謝とともに、いろいろな人の働きにも心にとめたいと思います。私たちは、ひとりではありません。多くの人とのかかわりがあり、多くの人の支えによって生きています。そのことも、子どもたちと一緒に感じ合っていけたらと思います。11月は、感謝祭礼拝があります。野菜や果物を持ち寄り、日々私たちの心と体を支えてくれる糧をお捧げし、こうして平安に過ごせることに感謝する礼拝です。その後、いろいろな人の働きに目をとめ、思いを馳せながら準備した感謝のお便りを持って、近隣のお世話になっている働く人たちを慰問します。「ありがとう」の気持ちを胸いっぱいにたずさえてー。それから、一生懸命小さな手を動かして、恵みを喜び味わう準備をします。秋の“みのりがいっぱい”を、大好きな大勢のお友だちといただく嬉しさ。楽しく食すにはどうしようと、自分の気持ちや考えを出し合いながら、お友だちと過ごしています。

収穫のとき、豊かな恵みとともに、私たちをも育んでくださる神さまの愛に感謝しつつ、安心して委ねながら、深まりゆく秋を感じて一日一日を丁寧に過ごしたいものです。

 

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10月「きもちがいいね」

春から夏にかけて体を動かすことに慣れて体力もつき、プールや水遊びで体いっぱいはじけて、そして今、涼やかな心地よい秋の空気の中で、運動遊びに夢中の子どもたち。ひと夏を過ごして随分たくましくなった子どもたちは、体を動かすことを楽しめるようになっています。今日は何をやろうかなー、何に挑戦しようかなーと頭に描き、期待とやる気をふくらませて登園してくると、朝の支度をさっさと済ませ、すぐにホールや園庭に駆け出す子どもたち。思わず走り出している、自然に体が動き出す。気持ちがいいと躍動感いっぱいのそんな姿がそこかしこに見られます。

また、この頃になると、お友だちとの関わりがより一層深まっていきます。遊びながら、素直に体と心を動かし楽しいと感じ、もう一度楽しい経験をするにはー、よりおもしろいものにするには一、と工夫やアイディアを出し合い、お友だちと一緒にいることを喜んでいます。共有や協力、我慢や忍耐が芽生え、それによって考えが深まり、遊びがますます楽しいものへと広がっていきます。「よ~っし!」「それっ!」「もう少しっ!」「がんばれっ!」「できたっ!」と、お友だち同士で応援し合う姿から、仲間としての気持ちを交わし合う様子がうかがえ、お友だちを意識し受けとめながら自分の遊びを組み立てられるようになっていることに感心します。

いろいろなことが計画されている10月。自然が豊かに変化し色づいていく季節。今月の保育主題も、9月に引き続き“きもちがいいね”です。生活を豊かにしてくれる季節の移り変わりの中で、子どもたちとともに気持ちよく暮らしていきたいですね。

 

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9月「きもちがいいね」

夏休みのしばしの静かなときを経て、園舎にまた子どもたちの元気な声が戻ってきました。二学期が始まりました。

子どもたちやおうちの方たち、どんな夏休みを過ごされましたか。いつもの園生活では経験できないことに心を動かす場面も、多かったのではないでしょうか。私たち保育者も、日々のルーティンワークの中ではできないことをしたり、ゆったりした時だからこそ目を向けられることに思いを馳せたりできた貴重な期間でした。豊かな恵みと休息のときを神さまがお与えくださったことに感謝しています。

そんな思いの中でも、幼稚園に子どもたちの声が響くと、『ああ、やっぱり幼稚園はこうでなくては~!』と思います。長期休みの幼稚園、どこか何かが足りないような、落ち着かないような・・・そんな気持ちが、一気に吹き飛びます。園舎も、おうちの方たちにお掃除していただき、明るくきれいになり、子どもたちを迎えられて嬉しそう。

9月は、季節の移り変わりを感じながら、遊びの中で体と心を十分に動かせるいい季節です。まだまだ暑い中にも、うろこ状に変わりつつある雲を見つけました。早朝の涼風は・・・きもちがいいね。子どもたちは、久しぶりにお友だちに会えて、ともにいることを喜び、一緒に体を動かすことを楽しんでー。弾ける汗も笑顔も・・・きもちがいいね。

いちばん長い学期、二学期。夏と秋と冬がある期間。たくさんの心躍る出来事や豊かな自然が子どもたちや私たちを待ち受けています。そして、その恵みの中で、子どもたちが大きく成長したくましくなっていくとき。そこに寄り添える私たち大人は幸せですよね。子どもたちの安心のために、これからもきもちのいい笑顔でいきましょう。

 

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8月「平和への願い」

8月は、平和への関心が高まる時です。原子爆弾投下による敗戦という第二次世界大戦の終戦から、69年が経ちました。戦争という悲惨な出来事を、二度と繰り返してはいけないと誰もが思っていながら、語り継がれるべきことが、人が、年々少なくなっていく中で、私たちが守られてきた日本国憲法九条という平和憲法が、今脅かされています。一政権の憲法解釈によって、戦争のできる国へと変えられようとしています。これは恐ろしいことです。そして、他人ごとではありません。

そんな報道がなされる中、子どもたちが健やかに幼児期の教育を受けられるよう、日々寄り添い、その子にとって大切なものを伝える立場として、私たちが、そして次世代の子どもたちが守っていかなければならない「平和」の意義も伝えていく責任を感じています。7月28~30日、キリスト教保育連盟の夏期講習会に参加するため、教師7人で広島へ行ってきます。毎年様々な事情があり、久しぶりのキ保連の研修です。世界で初めて原爆が落とされた地での研修、しっかりと平和への願いを胸に刻み、祈りを合わせてきます。きっちりとその意義を子どもたちに伝えられるようにー。

また、8月は、3分の2が夏休みです。いつもの「家庭」と「園」以外の場で、いろいろな人や事柄に出会うことも多くあるでしょう。そうした出会いを通して、普段の園生活では経験できないことに、ちょっと関心をもってみる、心をかよわせてみることも、心がけてみましょう。そして、たくさんの計画があるかもしれませんが、ゆったりとした時間を過ごすことも大切に、一人ひとりの子どもたちが、おうちの方々が、神さまのあふれる愛の中で、心も体も健やかに過ごせるようにと祈ります。

二学期、子どもたちの笑顔とともに、元気にお会いましょう。

 

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7月「やってみる」

身体や心を存分に動かせる季節になり、また、たくさんの自然やいのちが息づく中で、子どもたちの園生活には、“やってみる”があふれています。挑戦すること、試してみることは、勇気がいります。子どもたちは、それぞれ自分に合った仕方やペースで、果敢に挑んでいます。いろいろなことを“やってみる”うちには、楽しく面白いことだけでなく、葛藤や挫折もあることでしょう。それらを受けとめながら、迷ったり悩んだりしつつ乗り越え、さらに“やってみたい”という思いに至れるよう、環境づくりをしていきたいと思います。見ていてくれる目がある、いざというときに頼れる存在がある、その安心感のうえに冒険ができ、存分に遊び、様々な活動に取り組めるよう、寄り添う私たちの感性をも見つめ直しつつ、ともに歩みたいものです。

今月、神さまがお与えくださった聖句は、「子どもたちをわたしのところに来させなさい。妨げてはならない。」(マルコによる福音書10章14節)です。イエスさまは、身許に集おうとしている子どもたちを受け入れ、祝福されました。純真にイエスさまを信頼し、まっすぐ進んでくるこの子どもたちにこそ、神さまの国を受け入れられるとおっしゃいます。すべての子どもに必要なのは、気にかけてくれる人からの愛のまなざしと優しい触れ合いです。それは、神さまでありイエスさまです。そして、この世にあっては、親や保育者、私たちが子どもたちにとって大切な「気にかけてくれる人」なのです。その想いが、園の子どもたちにも豊かに注がれますようにー。

縦に細長い日本列島、北と南とそれなりに違いはあっても、春夏秋冬四季を感じられることは幸せなことではないでしょうか。今年も迎える暑い夏を、身体のみならず心も健康に過ごしましょう。

 

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6月「おもしろい」

木々や草花の緑が濃くなってきました。春の花の頃の柔らかな輪郭から、日ごとにはっきりした力強い線へと移ってきています。これから雨の季節がきて、うっとうしさを感じがちですが、緑を鮮やかにして草木を育んでくれる恵みの雨にも感謝する気持ちを持ちたいものですね。

先日行われた新規採用教員春期研修のための公開保育では、ご協力ありがとうございました。若い先生方にとって、よい学びの場となったと感じています。来られた指導主事が、鈴蘭幼稚園の子どもたちが遊ぶ姿を見て、「ほとんどの子どもたちが、実におもしろそうな表情と笑顔で遊び込んでいる様子に感動しました。自由保育、自由遊びということでしたが、本当の意味での自由としなやかさが園内に充ちているのを感じました。」とお褒めくださいました。それは、子どもたちにとって、自分で自分の遊びを選びとれる自由な空間と時間があるということではないでしょうか。

“おもしろい”と感じられる遊びを見つけられる楽しさや満足感、“おもしろい”を共有してもらったときの安心感や信頼感。子どもたちの気持ちが動く様子を、比べず急かさず見守り、子ども同士のかかわりと子どもとのかかわり、そして神さまとのかかわりを大切に育みたいと思います。

先立っていちょうさんが守ってきた礼拝を、すみれさん、たんぽぽさんも一緒に守れる週の始まりを嬉しく迎えています。神さまがお創りくださった命や自然にふれ、聖書のお話やさんびかに親しむことも、大切に育てていきましょう。そして、子どもたち自らがよく感じている、他者のために祈る気持ち。祈りはみんなをつないでくれます。子どもたちだけでなく、親も保育者も、祈り合って、支え合って、感謝し合って、そして自分の気持ちを伝えあって、豊かな園生活を送りたいものです。

 

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5月「おもしろい」

春はまだかと待ちわびていたことがうそのように、あっという間に、信州松本平の陽ざしの強さ、太陽の近さを感じる候となりましたね。この時期、鮮やかなたくさんの色が塗り込められていく景色を愛で、薫風を胸いっぱい吸い込み、心が弾け踊るような、解き放たれたような感覚に、やはり嬉しさを感じます。

子どもたちは少しずつ新しい環境やポジションに慣れ、さわやかな風の中で遊びに没頭できる子も増えてきました。子どもたちが“安心”できる居場所づくりに、私たち保育者も心を尽くしているのですが、その意図を超えた新鮮な驚きや感動や出会いが、日々の遊びの中には詰まっているようです。

先日、所用をたして戻って来たところ、降園用の門扉のすぐ下で、いちょうさんの男の子3人が土の上に腹這いになって何かしています。声をかけると、「アリさん!」地面に顔を擦りつけんばかり夢中になって観察し、「そっち行っちゃだめだよ。」と話しかけて指で誘導しています。1人は、泥だんごづくりの途中のようで、見事にチョコレート色したその指先が、このいかにも小さきものを愛おしむような優しさにあふれていて、思わず抱きしめたくなりました。

園の生活の中で、自分のしたいことがたっぷりとできるようにしたいものです。そのためには、ゆったり流れる時間がふんだんにあること。発想や心を豊かにする交わりがあること。考えたり選んだりできるおおらかでしなやかな雰囲気があること。なにより、子どもの自主的自発的な思いが尊重され受け入れられて、安心して過ごすことができることでしょう。

私も、土に腹這いになってみたい衝動に駆られました。大人になると、そういう心が求めていることを素直にできにくくなりますね。だからこそ、できるときに思い切り経験してほしい。子どもたちの“今”を大切にしたい。その中で、自分の“おもしろい”を見つけて、存分に園生活を楽しんでいってほしいと願うものです。

 

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4月「安心して」

新しい年度が動きだしました。昨年よりさらに厳しい寒さが続き、驚くような大雪に見舞われた冬でしたが、少しずつ、日中の陽ざしに力強さと暖かさが増し、ここ数日で一気に春がやってきました。日も長くなってきました。園庭の裸だった枝にも春の色づきが嬉しいこの頃です。

たんぽぽさんからすみれさんへ、すみれさんからいちょうさんへ、ひとつずつ歩みを進めるすずらんの子どもたち。慣れた土地やお友だちとの別れを受けとめ、ここすずらんで新しい生活を始める子どもたち。そして、初めてお母さんお父さんの手を離し、勇気を持って未知の世界へとふみ出す新入園の子どもたち。そんな子どもたちに、未来への希望を見出します。子どもたちの輝きが未来を照らしてくれます。希望はわたしたちを欺くことがありません(新約聖書:ローマの信徒への手紙5章5節)。

今年度のキリスト教保育の年主題は、一昨年より引き続いて“あふれる愛”。そして、――これからもともに――というサブタイトルがついています。月のねがいとして掲げられる月主題、4月は“安心して”です。新旧が入れ替わるこの時、神さまによって新しくされる私たちは、今までと違う環境に出会い、昂揚感や意気込みとともに緊張感や不安感も併せ持っています。それらも神さまのくださった能力と受けとめ、一人ひとり、かけがえのない存在としてあふれる愛で満たされ、生を受けたことを喜ばれ、自分の居場所を見出して“安心して”過ごせるよう、ゆったりとした気持ちで寄り添いたいと思います。比べず、急かさず、焦らずです。親の笑顔に、子どもたちは間違いなく安心します。子どもたちが、「光の子」としてのびやかに過ごせるよう心から祈りつつ、これからもともに歩みましょう。

神さまがお与えくださる月の保育主題に、耳を傾け想いを寄せ、感じたことを発信してまいります。今年度もどうぞよろしくお願いいたします。

 

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